Active Directory Certificate Services(AD CS)は、Windows Server における証明書発行基盤(PKI)を提供する役割である。
AD DS が「ユーザーや端末の認証」を担うのに対し、AD CS は「通信およびサーバーの信頼」を担う。
本環境では、内部通信の暗号化および信頼の統一を目的として AD CS を構築する。
本環境における AD CS の目的は以下の通りである。
自己署名証明書を排除し、ドメイン全体で統一された信頼モデルを構築する。
本環境では、外部認証局や自己署名証明書に依存せず、ドメイン内部で完結する信頼基盤を構築するため AD CS を採用する。
Enterprise CA として構築することで、ADユーザー/コンピューター単位で発行制御が可能となり、GPOによる自動登録(Auto Enrollment)および信頼済みルート証明書の自動配布が可能となる。これにより運用負荷を抑えつつ統制が可能となる。
LDAP(TCP 389)は暗号化されない。AD CS を構築することでドメインコントローラーへ適切な証明書を発行し、LDAPS(TCP 636)を安全に有効化できる。
自己署名証明書では警告表示が発生する。AD CS により発行した証明書を使用することで、ドメイン内で信頼された接続を実現する。
企業インフラでは内部PKI構築が一般的である。本環境も同様の思想で設計することで、実務レベルの設計理解を目的とする。
AD CS は公開鍵暗号方式を前提として動作する。
公開鍵暗号では鍵は2つで1組となり、公開鍵(Public Key)と秘密鍵(Private Key)で構成される。
公開鍵で暗号化されたデータは対応する秘密鍵でのみ復号でき、秘密鍵で署名されたデータは公開鍵で正当性を検証できる。
証明書は「自作の名刺」ではない。名刺は自己申告であり信用は保証されないが、運転免許証は公的機関が保証するため信用が成立する。
CAはその公的機関の役割を担う。
公開鍵暗号を利用し、証明書の発行・管理・失効までを含めた信頼基盤の仕組み全体。
🧠 例えるなら 国家の身分証制度全体。
証明書を発行し、電子署名により正当性を保証する機関。
🧠 例えるなら 公安委員会や市役所。
信頼の起点となる認証局。
🧠 例えるなら 国家そのものの信用。
信頼されたルートCAまで到達できる構造。
🧠 例えるなら 紹介状の連鎖。
失効した証明書の一覧。
🧠 例えるなら 免許取消者一覧。
証明書の用途・発行対象・鍵長・有効期限などを定義する設定。
🧠 例えるなら 申請書の種類。
Enterprise CA(AD統合型)を採用する。
LDAP通信をTLSで保護する。
自己署名証明書を排除する。
証明書を自動取得・自動更新する。
AD DS が「認証の基盤」であるのに対し、AD CS は「信頼の基盤」である。
両者が連携することで Identity(認証)、Encryption(暗号化)、Trust(信頼)が成立する。
AD CS はドメイン基盤を完成させるための重要な構成要素である。